[cinema] 『Ryuichi Sakamoto | Playing the Orchestra 2014』
2014年に坂本龍一さんが自ら指揮、演奏して東京フィルハーモニー交響楽団と共演したコンサートの響きを映画館の音響で堪能してきました。ライブ・コンサートでは休憩を挟みながらの演奏だったのでしょうが、映画館で119分間ほぼノンストップの演奏はお腹が、そして胸が一杯になりました。
一つだけ蛇足の感想。一番印象に残った曲、もしくは記憶の底から呼び出された曲は "Ballet Mécanique" でした。後に、中谷美紀さんが歌詞をつけてドラマ主題歌としてヒットしたのも今は昔。オケストレーションされた "Ballet Mécanique" も感動的でした。
[cinema] 『ファーストキス』
主演は松たか子さんと松村北斗さん。松たか子さんが演じる主人公が夫の事故死を回避するために現在と過去を行ったり来たりするファンタジー。 細田守監督版の「時をかける少女」の主人公の少女をちょっとなぞったような松たか子さんのコミカルな演技が素敵でした。 松たか子さんのイメージは、いまだに岩井俊二監督の『四月物語』の印象を引きずっていますが、高校生は無理があっても大学院生くらいの年齢であれば十分に違和感がない姿に感動しました。 松たか子さん演じる主人公が15年前の過去に遡っていることを示す演出として、ガラケー(折りたたみ式携帯電話)でわかってしまうのが面白いですね。
[cinema] 『とりつくしま』
上田映劇で映画『とりつくしま』をみてきました。上映の後には東かほり監督とプロデューサーの市橋浩治さんによる舞台挨拶がありました。
物語は亡くなった人が生前に思いを残した相手の身近なモノに取り憑いてそっと見守るというファンタジー。 舞台挨拶で東監督はファンタジーにしたくなかったと言っていましたが、死んだ人の魂がモノに取り憑いてずっとずっと話しているのだからファンタジーです。 ただテーマに死を扱っているにも関わらず、湿っぽいさがなく、お日様に干した真綿のお布団のようにフカフカだけれどカラッとした温もりが漂ってくる作品でした。 モノに取り憑いた人がこの世に残った人の暮らしを眺めながら時にクスりと笑いを誘うようなことを独り言として呟いているのですが、心霊現象を引き起こすこともなく 生者にメッセージを伝えるわけでもないためリアルと言えばリアルです。本当に亡くなった人がどこかでそっと見守ってくれているのではないか?と思わせてくれる設定でした。
東直子さんの11編からなる短編小説集から4編をピックアップして娘の東かほりさんが監督したそうです。4編どれも面白かったのですが、冒頭のトリケラトプスのお話でグイッと物語の世界観に引き込まれて、最後のロージンのお話で感動を誘う。野球のピッチャーが握るロージンで感動するとは思いもしませんでしたが、その思いもしないところに心を持って行かれたことにしてやられたと思いました。
[cinema] 『366日』
HYの名曲『366日』からインスパイアして製作された映画。べったべたのラブストーリーでしたが沖縄の美しい風景と今をときめく若手俳優陣が素敵に彩っていました。映画「世界の中心で、愛をさけぶ」ではカセットテープのウォークマンやラジカセが印象的な小道具として登場しましたが、本作品ではMD(Mini Disc)と有線のカナル型イヤホンがキーアイテムでした。懐かしいものも時代と共にシフトしていくのですね。😅
[cinema] 『本日公休』
台中の街の床屋さんでハサミをふるう理髪師さんがお店を休みにして昔馴染みの常連客を尋ねて散髪に出向くお話。お客さんは高齢者か親に連れられた子供だけなのですが昔ながらの床屋の雰囲気が暖かく懐かしい風景でした。「昔ながらの丁寧なサービスが懐かしい」とか「客と理髪師の距離が近いことが羨ましい」といったノスタルジーだけではない、現代を生きる30代の子供世代の悩みや希望も描いていてシンパシーを感じながら見ました。古くからの馴染客と自らの老いに悲哀を感じながらも、まだまだ頑張ってやるぞ感に溢れている台中のおばちゃんのパワーに圧倒される物語でした。老いの描き方も前向きで、現役世代にもしっかりと光を当てている素敵な映画でした。