[cinema] 『ブラック・ショーマン』
東野圭吾原作のミステリー小説の映画化。ガリレオ・シリーズでは物理学者の名探偵を演じた福山雅治さんが、本作では有村架純さん演じる姪と協力しながら事件を解決します。
被害者の中学教師も含めて登場人物が全て怪しい。被害者の弟である福山雅治さん演じるマジシャンがさらに怪しい。そんな中、有村架純さんが演じる被害者の娘だけが唯一、犯人ではないと観客が安心できる人物を演じています。秘密を隠しつつも父親の死を心から悼んでいる、そして事件を解決しようと謎に挑むひたむきな佇まいが素敵でした。
謎解きと華麗なマジックの映像演出がドキドキ、ハラハラを誘う極上のエンターテインメントでした。
[cinema] 『国宝』
レイトショーで話題作をみてきました。いつもはガラガラの地元のシネコンが年齢層すこし高めのお客さんで満席になっていました。
上演時間が3時間近い超大作でした。登場人物の浮き沈みが激しく最後まで息を詰めながらみました。歌舞伎の世界を描いていますが、映画的な演出で舞台上の役者をクローズアップしたり、ピンスポットを当てたり、オーケストラをBGMに当てたり、と映画として楽しみました。早替えの様子を裏からカメラで見せる。でも、その匠の技をみせて、へぇと唸らせるだけでなく、物語の終盤の伏線になっている演出に掴まれました。
[cinema] 『九龍ジェネリックロマンス』
いまはなき香港の九龍城を舞台に描かれたSFラブロマンス。コンピューターが作り出した仮想空間という設定も違和感なく受け取れる時代になりましたね。
吉岡里帆さんがCGのように美しい主人公の女性を演じています。振る舞いはお茶目だけれども外見はつくりもののような完璧な美しさ、という設定を演じているのですが、映画のラストシーンでクシュっと笑うと目尻にできる小皺がキュートで愛おしく見えるという演出が秀逸でした。人が愛おしく感じる対象は完璧さではなく親近感なのかもしれませんね。😀
[cinema] 『リンダ リンダ リンダ』
2005年公開の青春映画の4Kデジタルリマスター上映を見に行きました。「なぜ友達と喧嘩しているのか?」、「なぜ学園祭の舞台でバンドを組んで演奏するのか?」 心がとっ散らかって全く整理されていない、頭が答えに辿り着く前に体が走り出している登場人物ばかりなのですが、それが青春、それが人生と胸が熱くなる作品でした。
[cinema] 『ハルビン』
アン・ジュングンによる伊藤博文暗殺を描いたサスペンス映画でした。植民地化への抵抗運動から暗殺計画へとつながる物語をスリリングに描いていました。祖国独立への志を同じくする同志の中でも路線対立があったり裏切りがあったり、と苦難に満ちた過程が描かれていました。登場人物は傷だらけ、泥だらけの男性ばかりですが、チョン・ヨビンさんが演じるオリジナルキャラクターのコン夫人が馬賊に落ちぶれた義兄に涙を流したり、日本軍の待ち伏せを突破して颯爽と馬車を走らせるシーンは見応えがありました。暴力による現状変更は何も問題を解決しないと私は思っています。しかし祖国独立のために力を尽くした多くの人たちの心がユン・ソンニョル大統領による非常戒厳令にも屈することのない市民の強さにつながっていると感じました。