ちはやふる日記


[cinema] 『太陽(ティダ)の運命』

2025年07月06日 20:54更新

大田昌秀氏と翁長雄志氏の二人の歴代沖縄県知事を中心に膨大なニュース映像と丁寧なインタビューで描いた沖縄基地問題の近現代史のドキュメンタリー映画でした。冷房の効いた映画館で快適な椅子に座ってみることに後ろめたさを感じましたが見るべき映像でした。ニュースでみると点でしか考えなくなってしまうのですが、普天間基地の一時的な移転場所としての妥協点であったはずの辺野古海上へリポート案が国の都合で大規模な埋め立て工事という基地の固定化に変節していく経緯が線となってつながりました。不勉強にして、大田知事の退陣運動の急先鋒であったのが当時沖縄自民党であった翁長氏であったことは知りませんでしたが、その後、国との裁判闘争では太田氏と同じように翁長氏が沖縄を代表として闘った因縁に、保守・革新関係なく戦後が今なお続く沖縄の苦難を知りました。

「本土の100人に聞けば、誰一人、米軍基地を地元に誘致しようとは思わない。(だから沖縄県外への基地移設は現実性がない。)」と公の場で国会議員が発言するこの国の民主主義に絶望をすら感じました。

上映の後に佐古忠彦監督による舞台挨拶がありました。筑紫哲也さんが「沖縄に行けば、日本がよく見える」と語っていたお話が刺さりました。日米安保のために沖縄を犠牲にし、エネルギー政策のために地方に原発を立地する。地方を切り捨て、都市部では高齢者を切り捨てて、産業界は外国人労働者を使い捨て。多数派の大義名分のもとに、いかに社会を破壊しているかを考え直さなければならないと感じました。



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