ちはやふる日記


[cinema] 『Arc』

2021年07月04日 18:26更新

中国系アメリカ人作家の短編SF小説の映画化作品です。

派手なCGやVFXはありませんが、不老不死という古典的な題材を今の時代に突き刺さるテーマとして見事に描き出していました。物語の後半のモノクロームのパートでは、SF作品であるにもかかわらず小津安二郎の映画を見ているような不思議な感覚に襲われました。派手な映像がない部分を俳優さんの演技で見せているところが巧みで、前半は寺島しのぶさんが演じる孤高のアルチザンが物語の世界観を描き出し、物語の後半は小林薫さんと風吹ジュンさんが演じる老夫婦が物語の描く世界の行き着く先を見せてくれる演出が素敵でした。そして主人公のリナを演じる芳根京子さん。30歳の肉体のままで、19歳から132歳までの役柄を立ち振る舞いで演じ分けたところに感嘆しました。触れるもの全てを傷つけてしまう勢いを持った10代。社会の中に居場所を見つけて充実を覚える30代。さまざまな目標を達成し達観の境地に到った100歳。セリフや表情からこれらの変化を演じ分けた姿は圧巻でした。



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