一般的な赤外線リモコンでは 940nm 付近の波長の赤外線をつかいます。そして、この赤外線を 38kHz の副搬送波, 1/3 のデューティー比で1次変調します。ということで、これだけでは周波数帯域(バンド)を分けて複数の通信路をつくることができません。要は1チャンネルしか作れません。
そこで、この赤外線リモコンの基本的な方式をつかい、どういう方法で2チャンネルの通信経路をつくっているのか調べてみました。
下図はリモコンの送信ボタンを押下したときに受信機側のIrレシーバーの出力をオシロスコープで計測した波形です。ちなみにIrレシーバーの出力は負論理(Active Low)ですが、プローブの接続を反転して正論理にしています。
CH1 信号周期

チャンネル1の送信ボタンを押したときのIrレシーバーの出力です。チャンネル1の信号周期は240ミリ秒でした。
CH2 信号周期

チャンネル2の送信ボタンを押したときのIrレシーバーの出力です。チャンネル2の信号周期は360ミリ秒でした。ただし 360ミリ秒周期の中で同じ信号を2回送っています。
チャンネル1の周期とチャンネル2の周期は 2 : 3, 素数の比になっています。そして無信号(無発光)の時間が周期の 2/3 以上あるため、いくつかの周期は競合しますが、2つのチャンネル周期(240ミリ秒と360ミリ秒)の最小公倍数 720 ミリ秒 に 1回 は競合しない(チャンネル1とチャンネル2のタイミングがズレる)ように工夫されていました。