[cinema] 『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』
2025年12月15日 19:17更新
太平洋戦争の激戦地となった現パラオ共和国のペリリュー島での史実をもとにしたフィクション作品です。
登場人物は三頭身に可愛らしくデフォルトされていますが、そこで描かれる戦争には、勇ましさも、華々しさも、正義もない悲惨な死だけでした。
留まるもならず、撤退もままならず、部隊全滅の瀬戸際に追い詰められた士官が特攻を命じる場面が登場します。しかし、訪れる結末は事故死のような突発的な死。英雄譚に仕立て上げられる特攻は安全地帯にいる戦争指導者が命じる死でしかないと思い知らされるシーンでした。最前線で進退極まり日本兵の銃剣に刺されることを悟った米兵が手榴弾で自爆する場面も描かれました。当時の米軍は遺族への報告のため、そして、次の軍事行動の資料として、自国兵士の戦死の状況を正確かつ克明に記録しているため虚飾を廃した史実なのだと思います。敵味方関係なく無惨な死だけがある戦場のリアルを描いた作品なのだと受け取りました。
劇場が明るくなったあともしばらく立ち上がれなくなった作品でしたが、見るべき、広めるべき作品だと思いました。