ちはやふる日記


[book] ファントム・ピークス

2007年12月15日 17:46更新
ファントム・ピークス

骨太の社会派サスペンスと言える作品で、久々に睡眠時間を削って一気に読んでしまいました。著者が長野県堀金村の出身で、物語も安曇野一帯を舞台にしているので、松本周辺の書店では結構山積みになっているようですが、そんなことを差し引いても十分に楽しめる作品です。

まずストーリーのハラハラドキドキ感がたまらないです。人里からそれほど離れているわけでもない山の中で次々に女性が忽然と姿を消す、という謎の核心となる「ファントム」の正体が、なかなか明かされないのですが、上手に伏線を張って、小出しにヒントが与えられるので、次が気になって読むのをやめられません。

また物語の登場人物も魅力的で、主人公の男性は、中年の山を越してから奥さんの健康を気遣って都会から田舎へ移り住むような、社会の最前線でバリバリやるタイプではないのだけれど、芯がしっかり通っていて、控えめな優しさが滲み出てくるところが素敵だし、主人公と伴に謎を追う女性動物学者も、野生動物や自然に対してだけなく、人間社会に対しても凛とした姿勢で相対しているところが共感を持てます。

年末年始に一度読んでみてはいかがでしょうか? ただし小説を読んだ後は、山や森に足を踏み入れるのが、少し怖くなりますが・・・ ^_^;



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