ちはやふる日記


[travelogue] スミソニアン航空宇宙博物館

2007年01月11日 02:01更新

この夏、縄文杉への道を辿りながら考えました。せっかくの休みに、何故苦しい思いをしながら山道を登っているのだろうと。

そこで考えました。次の休みは、エアコンが効いて、雨風の心配がなく、いつでも好きなだけ休める場所にしようと。

そしてたどり着いた結論が、今回のアメリカ(オタク)博物館めぐりです。

年間100万人近くの入場者を集める世界屈指の博物館です。

ワシントンDCに本部を置くスミソニアン協会の18の博物館・美術館の中でも最も人気の博物館です。(と、ツアーモービルのガイドさんが言っていました)

一度見てみたかったんです。その昔、幕張メッセにスミソニアン博物館の展示品が来たことがありましたが、あまりの貧相な展示にがっかりした覚えがあります。一度は、この目で実物を見なければと思った経験のリベンジです。


月の石

セキュリティチェックを抜けて博物館に一歩足を踏み入れると、早速、『月の石』とご対面です。

ここでは、自分の指で月の石に触れることができます。私は大阪万博をリアルタイムに経験したわけではないのですが、その当時、アメリカ館で月の石を公開したときは、ただ眺めるだけで大変な行列になったのだそうです。それが、ここでは手で触れることができます。しかし観客の皆さんは、月の石に慣れきっているのか、たいした関心も払わず、通り過ぎていくのでした。おかげで、ゆっくりと月の石を撫ぜ撫ぜして記念撮影をしてきました。(あやしい・・・)

マーキュリーとジェミニの司令船

1950年代末から、アポロ計画への道程を切り開いたマーキュリー宇宙船とジェミニ宇宙船の司令船です。

透明なアクリルケースで覆われているものの、どちらも本物の宇宙船が展示されています。大気圏突入時の焦げ跡が生々しく臨場感を漂わせています。

アポロ11号司令船

僕らが生まれてくる、ずっと、ずっと前にはもう、月に行った『アポロ11号』の司令船です。人が乗り込む部分は本当に狭いというのが第一印象です。このカプセルに閉じ込められて、月まで往復するということは並々ならぬことだと感じました。

ほんと、これだけ見て日本に帰っても良いと思わせる展示品です。もちろん、他の展示品も隈なく見て回りましたが・・・

ライトフライヤー

ライト兄弟が人類史上初の動力飛行に成功したライトフライヤーの『実物』です。

翼の布は張り替えられているようで、骨組みの木も新しい感じがするのですが、スミソニアン協会が実物だと言い張るからには実物なのでしょう。しかし考えてみれば、ライト兄弟が空を飛んでから、高々103年。正倉院御物とは歴史が違うわけで、これも一つの歴史です。さりとて、これも、ここでしかお目にかかれないアメリカのお宝に違いありません。

シカゴ号

世界初の世界一周を果たしたシカゴ号です。ガイドさんの説明も熱を帯びます。

ロッキード ベガ

女性初の大西洋単独飛行を果たしたアメリアの愛機ベガです。飛行機乗りで容姿端麗。当時からかなりの人気だったようです。飛行機がワインレッドで塗装されているところも、なかなかに洒落ています。世界一周に挑戦しているさなかに行方不明になったとのことで、いまだに彼女の機体を探すプロジェクトが存在するようです。

スピリット・オブ・セントルイス

リンドバーグが史上初の大西洋無着陸横断を果たしたスピリット・オブ・セントルイスです。ちゃんとパリからアメリカに持って帰っているのですね。 ^_^;

当時、この手の冒険はヨーロッパよりもアメリカのほうが盛んだったそうです。理由は冒険に成功すると莫大な懸賞金を手にすることができたということにあったようで、懸賞金を出す側とすると、新しい航路を開拓してビジネスに結び付けようという商魂たくましさが背後にあったようです。さすがフロンティア・スピリットの国、アメリカですね。

ヒューズ H−1

映画『アビエータ』でレオナルド・ディカプリオが演じたハワード・ヒューズが自ら設計し、冒険に挑んだヒューズ H−1です。

アポロ11号月着陸船訓練シミュレータ

アポロ11号の宇宙飛行士たちが地上での訓練に使った模擬着陸船です。実物どおりに非常に緻密に作りこまれていて感動です。

スーパー・カミオカンデ光電管

小柴昌俊博士のノーベル物理学賞受賞研究に貢献したカミオカンデの光電管です。スミソニアンは他国の業績だろうがなんであろうが、片っ端から収集して展示してしまうようです。すごい!

全天自動走査システム

CCDとコンピュータの力を借りて、力ずくで夜空の星を全て洗い出してしまうシステムです。以前は彗星探索(コメットハンター)というのはアマチュアの地道な観測作業の独壇場でしたが、これが出現したことにより、アマチュア天文家の活躍の場が、めっきりと少なくなってしまいました。少し寂しい気もしますが、これもイノベーションの一端ですね。

U-2偵察機

 

1960年、当時のソビエト領内で撃墜され、アメリカのスパイ活動が明らかになったU-2偵察機です。キューバ危機でも、このU-2偵察機がキューバ領内に設置されたソ連のミサイル基地を捉えます。米空軍の一偵察機ではありますが、歴史の一ページに名を残した飛行機として、偵察カメラからパイロットが墜落したときに使うサバイバルセットに至るまで、念入りな展示でした。

体験型展示

なぜ空を飛べるのかを子供向けに解説した体験型展示スペースもありました。結構、大人も楽しんでいましたが。。。

DC-3

一時代の世界の空を席巻したDC-3です。その製造機数は10,000機を越えるそうです。1930年代に就航した飛行機ですが、未だ世界の空では現役で飛び回っているDC-3がいるそうです。DC-3しかり、YS-11しかり、エンジニアの夢は、こういう息の長い製品を作ることですね。

フォード トライモーター

あの自動車王ヘンリー・フォードも飛行機を作っていました。エンジンが3つあるというところが特徴的なトライモーター。しかし、この後、大恐慌の到来とともに、フォードは航空機製造から撤退してしまったそうです。ちなみにロッキード・トライスターも、やはりエンジンが3発あるということで『トライ』だそうです。

第一次世界大戦


第一次世界大戦は航空機が本格的に戦争の道具として使われるようになった戦争です。

左のポスターは市民に対して敵の航空機に対する注意を求めたものです。それまで飛行機を見れば手を振っていれば良かったものが、恐ろしい戦争の道具に生まれ変わっています。右が当時、飛行機から投下された爆弾です。

第二次世界大戦期の戦闘機

左上から米のムスタング、英のスピットファイヤ、独のメッサーシュミット、そして日本の零戦です。

こうして他国のずんぐりむっくりした戦闘機と比べると、日本のゼロ戦が搭乗員の防護を犠牲にしてまで軽量化をはかりスマートなフォルムをしていたことが見て取れます。

太平洋戦争

太平洋戦争もかなりのスペースを割いて展示が行われています。左上の看板を要約すると「太平洋における航空母艦の戦争」とでもいったところでしょうか?右下の写真は、戦闘機乗りの本物の撃墜表です。敵味方いずれからみても、かならず撃墜した人と撃墜された人がいるわけで、非常に複雑な思いで展示を見ました。

X-1

チャック・イェーガーが世界で初めて(水平飛行による)音速の壁に挑んだX−1です。音速の壁に挑んだ人たちの物語は映画『ライトスタッフ』にも詳しく描かれています。当時のテストパイロットはかなりの高給取りだったそうで、裏を返すとかなりの危険な職業だったそうです。

X-15


アメリカの空へのあくなき挑戦は続きます。最高速度マッハ6.1、高度100km超を記録したX-15です。地上100km以上を大気圏外と呼びます。(それ宇宙空間やん!) ちなみにアポロ11号のアームストロング船長はこの飛行機のテストパイロット出身だそうです。

スピリット・オブ・フリーダム


世界で初めて気球による単独世界一周を成し遂げた『バドライト』スピリット・オブ・フリーダムのキャビンです。Powered by バドワイザーということで製品名が冠についています。かなりの高高度を飛行するため、キャビンは宇宙船のような気密式になっています。ほんと、皆さん世界初の冒険がお好きで・・・ ^_^;

ボイジャー

世界で初めて、無着陸・無給油で世界一周を果たしたボイジャーです。博物館中央のインフォメーションの上の一等地を占めてています。非常にスリムなフォルムで、いかにも軽そうな、究極の省エネ飛行機といった印象でした。

スペースシップワン

民間企業が開発した有人宇宙船としては、はじめて宇宙空間へ達したスペースシップワンです。

ハッブル・スペース・テレスコープ(宇宙望遠鏡) 動体モデル

これまた巨大な望遠鏡です。これが地上にあっても十分に大きな望遠鏡ですから、これを宇宙に打ち上げれば、より遠くの天体まで観測できる理由も納得できます。ちなみに、ハッブル・スペース・テレスコープは地上から肉眼で観測できることでも有名な人工衛星です。(そりゃ、これだけ大きければ、地上からも見えるわけだ。)

アポロ11号搭載品

アポロ11号とともに月に行った品々です。写真にあるとおり、まさに歯ブラシ一本に至るまで、執拗に保存、展示されています。

特別展示:アメリカ至宝展

航空宇宙博物館の近隣のアメリカ歴史博物館が現在、改装閉館中のため、一部の所蔵品が航空宇宙博物館において特別展示されていました。

初代大統領リンカーンの帽子。確かに貴重なお宝ですね。

発明王エジソンの電球。ふむふむ、これも貴重なお宝だ。

セサミストリートに登場するマペットのカーミット。へぇ? これが博物館で展示するお宝???

それでもって、この3点の貴重なお宝が並んで展示されています。見学者も結構、カーミットの前で足を止めていたりします。

私だってカーミットが有名なぬいぐるみだということは知っています。TCP/IPなどまだまだ高嶺の花であったその昔、2台のワークステーションをシリアルケーブルで接続して"kermit" でファイル転送したこともありました。

それにしても、リンカーンの帽子と並べて展示するものなのでしょうか?アメリカ人の価値観が理解できない・・・・

しかし理解不能な展示はまだまだ続きます。

ENIACの前に立つC-3POとR2-D2。いえ、だから、展示内容を理解している人は理解しているのでしょうが、現実も映画の世界も一緒くたですか???

オズの魔法使いの赤い靴

映画『オズの魔法使い』の中でドロシー役のジュディ・ガーランドが履いた赤い(ルビー色の)靴です。アメリカ文化を理解するためにDVDを借りて勉強するようにします。

宇宙船搭載のコンピュータ

左が宇宙開発の初期、ジェミニ計画とアポロ計画で宇宙船に搭載されたコンピュータ・モジュール。右がスペースシャトルに搭載されたラップトップ・コンピュータ。大きさだけを比較すると、それほどの違いはないのですが、性能で比べると格段の進歩なのでしょうね。


まだまだオタク巡りは続きます・・・



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