ちはやふる日記


てこを引く

2006年05月09日 12:31更新

さよなら交通博物館

施設の老朽化とさいたま新都心への移設に伴い、この5月で閉館となる秋葉原の交通博物館を見学してきました。GWの博物館は「親子連れ」と「その筋の方」でごった返しておりました。私も子供のころに父に連れられて訪れた記憶の懐かしさ半分とオタク心半分で秋葉原巡礼の道すがら見学してきました。

鉄道ファン(いわゆる「鉄ちゃん」)にも色々な種類の方がいます。ひたすら列車に乗るのが好き、という「乗り鉄(旅鉄)」。列車には一切乗らずに、列車の先へ先へと車で先回りをして写真を撮りまくる「撮り鉄」。鉄道ファンは一般に蒸気機関車や廃線巡りといった懐古趣味を好む人が多いなか、ひたすら新幹線を追い求める新幹線マニア。

そんななか私は、こんな写真を撮っています。趣味でしょうか?前職のトラウマでしょうか?

腕木(うでぎ)式信号機




てこ

現在でも、ポイント(転てつ機)を切替えること(列車の進路を敷くこと)を「てこを引く」と言いますが、その語源となったのがこれです。初期の鉄道ではポイントを切替えるために、いちいち駅員さん(信号員さん)が線路脇まで行って切替えていたのですが、それでは、ポイントがいくつもある大きな駅では大変なので、ポイントから信号扱い所までワイヤケーブルを敷き、信号扱い所では、この写真にある「てこ」を引いて、遠くにあるポイントを切替えました。「てこの原理」の実用応用例です。

その後、ポイント(転てつ機)の油圧化、電気化が進み、係員さんのスイッチ操作ひとつで、ポイントが切り替わるようになったのですが、「てこを引く」という用語はそのまま残っています。

CTC (Centrilized Traffic Control)

現在では、PRC(Programmed Route Control)と呼ばれるコンピュータシステムのサポートにより、ダイヤ通りに列車を運行する限りにおいては、係員さんの操作など一切なしにポイントは自動的に切り替わるのですが、そのプログラムの中でもなお、「てこ」を引きます。

ということで、どんな最先端のシステムにも、どこかに過去の遺物の残り香がありますよ、と言いたかったのです。それを『厭う』か『愛する』かで、信長タイプか光秀タイプに分かれるのでしょうか?



ATS-P車上表示装置

福知山線の脱線事故でクローズアップされた新型ATS(ATS-P)を備えた列車の運転席に備え付けられる表示装置です。

「新型」と言っても1980年代中頃(私の生まれた前後!?)には実用化されているシステムなので「どこが新型?」とニュース番組に一人つっこんでいるのですが、大過なく動作している(ように見える)システムのバージョンアップは遅々として進まないようです。xxxxxxxのバージョンアップは、いつになるのでしょうか?(xxxはブログ読者の好みで適当な文字で埋めてください。)



【おまけ】 旧万世橋駅遺構

交通博物館の場所には昔、万世橋駅という駅があったのだそうです。 万世橋駅は現在の東京駅が開業するまで中央線のターミナル駅として栄華を極めたそうです。祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり・・・

旧プラットホーム 旧駅舎内


【圏外】 サンシャイン国際水族館 ナイトクルーズ

照明を落とした夜の水族館で懐中電灯を片手に夜の水中の生き物を観察しましょう、というゴールデンウィーク企画です。

でもデジカメを固定して動きの遅いカニを狙い夜景モードを選択しても、このザマです。

民生用のデジカメで狙おうということが土台無理な試みでした。

しかし蛍光灯の光の下では美味しそうに見える魚やカニも、懐中電灯の微かな明かりの向こうでは、心なしか物言わぬ哲学者のようにも見えるのでした。

「世界にはデジカメには写らないけれども、素敵なものがたくさんあるんだよ」(リリー・フランキー風)



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